QUIZ−3
「昨日はあんまりじゃないか。」と、まだ夜も外が明るい開店間際に店に入った私は
マスターに声をかけた。
マスター「あ、昨日の問題、解けました?」
まだ店の開店準備中なのだろう、カウンターにはタオルが干してある。こんな早い時間に
飲みにきた私は、一瞬後悔を覚えた。「暇なやつ」と思われたに違いない。
「ともかく、ビール。暑くてたまらん。」
「ビールは何にします?ギネスとか・・・」
「いや、生ビールがいいよ。」
煙草に火を付けてから、頃合をみて、「180Kmの距離を時速60Kmの列車なら、3時間、
中間点なら1時間半。蜂は時速200Kmだから、1時間半で300Km飛んだことになる。
こんな子供でも解ける問題を悩んでしまって、マスターがわざと難しく考えさせようとしたとしか
思えないよ。」
マスター「どうもすいません。あの時、種明かししなかったのには訳があったものですから。」
「訳があっただって、なんだいその持って回った言い方は。」
マスター「実はこの問題、まともに考えると蜂の行ったり来たりを無限級数で解かなければ
ならないんです。ノイマンはこの問題がパーテー会場で出された時、1分足らずで、無限級数
を使って暗算で解いたんです。これがノイマンの逸話として有名になった根拠なんですよ。」
昨夜、風呂につかりながら「なんだそんなことか」と答えを見つけて、すっかり満足していた私は
このマスターの話を聞いてまたもや落ち込んでしまった。
今日はこのビールを飲んだら帰ろうか。無限級数だって?そんなこと学校で習ったっけ。
未だ図書館は開いているだろうか?
「お詫びの印しに、こんなクイズはどうです?」と、私の気持ちを察したのか、マスター。
「今日仕入れたボトルは、問屋が言うには偽物が混ざっているかもしれない組み合わせです。
でも、ラベルの記載を考えて選べば、スコットランドの最上級スコッチが格安で飲めるかも
しれません。」
「なんでそんな馬鹿なものを仕入れたんだ?」
「問屋が値切って仕入れたら、ラベルを貼らずに送ってきたらしいんです。
問屋は、船が浸水してラベルが剥がれたんだと言ってましたがね。
さて試飲して従業員にラベルを書かせたところ、一人の首になった従業員が、電話で
「ざまあみろ、ラベルにはでたらめを書いてやった」と言ってきたので、問屋の店主は
ショックで寝込んでしまったというわけです。
でもその分、まとめて格安で入手したというわけで」
「本当の話かね。まあ、それを出してみてくれ」
私の前には、AとBの2本のボトル
ラベルA 「このボトルは最上級品、他のボトルは粗悪品」
ラベルB 「ボトルのどちらかが最上級品、どちらかが粗悪品」
マスター「この2本は、どちらも粗悪品の偽物かもしれないし、どちらも最上級スコッチかも
しれないし、片方だけが粗悪品で片方は最上級品の可能性があるんです」
「なるほど、ラベルに書いてある注意書きを読んで選べというんだな。
でも、そのラベルは本当のことを書いているんだろうな。」
マスター「残念ながら、一つは本当で、一つは嘘です」
さて私はどちらを選んだら良い?